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【映画】【アニメ】くまのプーさん 完全保存版

現実でプーたちをまともに相手にしていたらきっとラビットのように気が狂う。

くまのプーさん 完全保存版】 1977年 - アメリカ - 74分

原題:
The Many Adventures of Winnie the Pooh
監督:
ウォルフガング・ライザーマン



「プー あくまのくまさん」があまりに酷かったので、大切な何かを取り戻し、そしてそれに縋りたくてディズニー版の「くまのプーさん」を観た。

プーの映画も何作かあるけど、この「完全保存版」が1番古いやつだということを後5年間くらいなら覚えておけそう。冒頭に出てくるぬいぐるみもプーさん以外は原作仕様で、クラシックプーが好きな私には嬉しい映像だった(2011年作の無印プーではみんなディズニー仕様のぬいぐるみになってた)。

原作もしっかり読んだことがあるけど、どのお話がどの映画に入っているのかよく分からなくて、この「完全保存版」こそ、そのまんまハニハンの元ネタだったと分かった。

のんびりとした永遠のような時が流れている"100エーカーの森"———全部で3話の短編からなる映画で、そのうちのほとんどはラビットがかわいそうな目に会うお話だった。
はちみつに脳を支配された煽り属性のプーと、飛び跳ねることに脳を支配された煽り属性のティガーの両方に迷惑をかけられているラビット...「なんでわしばっかり」とラビットにしっかり不幸の自覚ありなところが輪をかけて可哀想。「不思議の国のアリス」と言い「ピーター・パン」と言い、英国児童文学はナンセンスな言い回しが魅力的で大好きなんだけど、あまりに話が通じなくて、現実でプーたちをまともに相手にしていたらきっとラビットのように気が狂う。

そんな中、嵐のエピソードは珍しくプーがめちゃくちゃ優しかった。
泣きながら自分の家をオウルに差し出すピグレットに向かって「自分の家だってちゃんと言いなよ」と、顔を顰めながら耳打ちするプーの表情が無性に好き。

原作も映画も観たことがなくて、プーというキャラのおおよそのイメージだけしか知らない人ならきっと、この嵐のエピソードくらいの優しさがプーたちの通常運行だと思ってそうだけど、あくまで3つのエピソードのうちの1本だけ。
他人の家に押しかけてはちみつを食い尽くした挙句、家の入り口に詰まって抜なくなるくらいの迷惑を掛けるのが通常運行のプー。でもそこが好き。

最後のクリストファー・ロビンとプーのやりとりはじんわりくるし、大人だからこそ余計に胸に沁みるものがあると思う。はちゃめちゃなのに優しくてあったかくて素敵な映画だった。


(2023/07/08)ディズニー+(吹替)


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