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【映画】コンクリート・ユートピア

エンタメ性を強化した「ザ・ロード」みたいな映画だった。

【コンクリートユートピア 2021年 - 韓国 - 129分

原題:
콘크리트 유토피아/Concrete Utopia
監督:
オム・テファ
キャスト:
イ・ビョンホン
パク・ソジュン
パク・ポヨン
キム・ソニョン
パク・ジフ
キム・ドユン

未曾有の大災害によって、一瞬にして壊滅してしまったソウル。そんな中、唯一崩落を免れたマンションには生存者たちが溢れかえっていた。生きるために決断を迫られたマンションの住民たちは、一人の男を代表に選び、余所者を排除しようとするが...



ひとことで言うなら、エンタメ性を強化した「ザ・ロード」みたいな映画だった。

発端となる災害の原因は明かされないし救助云々の話でもなかったので、これはディザスター映画ではなくアポカリプスやディストピアに分類される映画なんじゃないかと思う。

都市サイズのでかいモグラが地中から出てきて、地上が全部ひっくり返ったみたいな災害だったので、良い意味でリアリティは感じずに観れた気がする。災害の描写が雑な訳じゃなく、描きたいテーマは災害のその後に起きたことだと言うのが明白だった。
そもそも大災害の中で、一棟のマンションだけが無事というのもファンタジーだし、"ユートピア"と"あこがれの夢のマンション"、キリスト教の"隣人を愛せ"が文字通りのマンションの"隣人"となっているのも、なるほどうまいメタファーだと思った。

こういう映画を観た時、どうしてもどう行動するのが正しいのか"正解"を見つけようとしてしまうので、頭がオーバーヒートしそうになる。
他者に対して思いやりを持つことはもちろん大切だけど、心の底から他者を思いやっての善き行動であろうと、非常時においてはその行動が悪い結果に結びついてしまうこともある。冷酷な判断がより多くの命を救うこともあるし、どちらも悪いしどっちも悪くないという二律背反が両方とも成立してしまうのが非常時だと思い知った。
明確な極悪人が出てこず、常に選択と因果を突きつけられる内容だったので、考え込むと完全に煮詰まるから、とにかく自分と他者を天秤にかけなければならない状況に陥ることのないよう、祈るしかないのかも知れない。

ところで、実は予告もロクに観ずに鑑賞を決めたので「奈落のマイホーム」の逆バージョンみたいな内容かと思ってた。イ・ビョンホンもリーダーシップを取ってみんなを救うかっこいい役だと勘違いしていたので、まさかの怪演っぷりにびっくり。ポケモンの3段階進化並みにイ・ビョンホンが変わっていく。あと"韓流四天王"と呼ばれていた時代にすら、おそらくやってたことがなかったであろうアイドルっぷりを観せられてびっくりした。まさかこの映画でイ・ビョンホンの歌とファンサが飛んでくるとは...


(2024/01/06)映画館(字幕)


www.youtube.com


以下、ネタバレ感想










MEMO---
・妻の優しさも夫の死の一端を担っていたよね...
・ちょ、待って、犬...描写は濁してたけど、普通に犬が死ぬより最悪な映画があったとは(絶句)
・実の息子を殺された筈の母親がヨンタクを庇うようにしていたり、「あのマンションの連中は人を食うらしい」と噂してた男がラストに再登場していたり...抜かりなくて問うてくる映画だった
・突き詰めると主要人物たちが全員、形は違えど自己犠牲で行動していたのがやるせない