主人公ミアの抱える孤独が執着や依存に結びついていて、その人物描写が嫌に秀逸で緻密なところが逆にしんどい。
【Talk to me / トーク・トゥ・ミー】 2022年 - オーストラリア - 95分
原題:
Talk to me
監督:
ダニー・フィリッポウ
マイケル・フィリッポウ
キャスト:
ソフィー・ワイルド
ジョー・バード
アレクサンドラ・ジェンセン
ミランダ・オットー
呪物の"手"を握って「Talk to me」と言い、霊を自分に憑依させる降霊ゲーム。母親を亡くした高校生のミアは仲間と共に降霊ゲームを楽しんでいたが、仲間の一人にミアの母親の霊が憑依し...
ホラー大好き、そして何と言ってもA24!
田舎住みなので都会よりA24作品の上映日が遅く (そもそも上映しないことすら多く)、今作も本当は地元では1週間遅れの公開だったので、いつものごとく"遅れがちの方のA24の女"になるところだったんだけど、ありがたくもフィルマのオンライン試写会に当選したので、今回だけは"珍しく遅れなかったA24の女"と名乗るよ。
「Talk to me(話したまえ)」と言って呪物の"手"を握ると幽霊が見えるようになり、更に「I let you in(入るを許す)」と続けるとその幽霊に憑依される...ただし90秒以内に手を離さないとそのまま霊に取り憑かれてしまうという、お手軽だけどリスキーなコックリさん上級編のようなゲーム。
そもそもキャッチフレーズの"霊、ヤバい、キモチいい”というのも一体どういうことかと思ってたんだけど、降霊もそんな合法ドラッグのような使い方をされるようになったのか...
ただ、ハイになれると思いきやとんだダウナー系の映画。東京"怖コン"で初出し映像も観たので、もっと分かりやすく視覚的に怖い系の映画かと思ってたんだけど、どちらかと言うと精神的に来るやつだった。降霊ゲームというキャッチーさで釣りつつ、本質はもっと暗く深いところにあって、嫌〜な鬱い気分になるやつ。後、どっちかと言うと痛そうで「うわ!」っとなる系だった。
主人公ミアの抱える孤独が執着や依存に結びついていて、その人物描写が嫌に秀逸で緻密なところが逆にしんどい。「私は何も悪くない」と言いながら全部めちゃくちゃにするタイプの女にも見えて中々しんどかったし、ミアを取り巻く友人や友達家族の空気感も絶妙過ぎた。
若者のノリや軽薄さもリアルで、その辺はYouTuber出身である双子監督の経験と現代の感性なのかな?
若者の精神的な弱さと、それを満たしてくれると錯覚させて付けいってくる"何か"。
それは現実で言えばドラッグだったり性的なものだったりするのだろうけど、それをうまくホラーに結びつけた発想がお見事だった。「あ〜怖かった!」「あ〜面白かった!」とすっきり簡単には終われないところがA24らしい映画。印象的に使われてる黄色にも意味がありそうで考察しがいがある。
緊張感が保つので、ホラー映画の理想的なランタイムだと思っている90分台の映画というのも良きだった。
(2023/12/14)Filmarksオンライン試写会(字幕)