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【映画】【舞台】デヴィッド・テナント&クシュ・ジャンボ 『マクベス』

血まみれのデヴィテナが現れて、手や顔から血を洗い落とすシーンから始まる舞台。

デヴィッド・テナント&クシュ・ジャンボ 『マクベス』】 2024年 - イギリス - 115分

原題:
Macbeth: David Tennant & Cush Jumbo
監督:
マックス・ウェブスター
キャスト:
デヴィッド・テナント
クシュ・ジャンボ
原作:
ウィリアム・シェイクスピアシェイクスピア全集 (3) マクベス (ちくま文庫)

三人の魔女に「いずれ王になる男」と予言されたマクベスは王の暗殺を実行し、やがて本当に王となるが...



英国の舞台が映画館で見られる「ナショナルシアターライブ」...とは今回どうやら違うらしいけど、英国舞台の映画館上映。

急いで原作をおさらいしようと書店に行ったら、私が揃えてるシリーズの『マクベス』が置いてなくて、仕方なく次の日に別の書店で購入して当日読みながら映画館に向かった。記憶が新しいうちに逐一原作と比べて観ることができたので、ギリギリ予習も悪くなかった。

血まみれのデヴィテナが現れて、手や顔から血を洗い落とすシーンから始まる舞台。やっぱり元が演劇なので文字で読むよりお芝居の方がすっと物語が頭に入ってくる感覚があって、マクベスの物語が最初から最後までずっと血に塗れていることを冒頭から認識させられた。
この真っ白な舞台も、後々血に染まるから白なんでしょ?と期待。それはそれとして、めっちゃ顔洗ってるけどメイクしてないの?デヴィテナのビジュが3割くらい自宅モードなんだけど大丈夫?という雑念もあった。

衣装も黒のキルトにモノトーンのトップスで、全体的に色がないので血の赤が目立つ。しかもマクベスが黒、クシュ・ジャンボ演じるマクベス夫人が真っ白な衣装で、白と黒ってワンセットでありつつ正反対でもある色だし、演じ手の肌の色も白と黒でこういう人種混合の配役ならすごくいいかもと思った。

実は書店で本が買えなかった日、腹いせにKindleで翻訳者が書いた『深読みシェイクスピア』という本をなんとなく購入して先に読んでおいたんだけど、これが大正解だった。というのも訳者がマクベス夫婦を"一卵性夫婦" と称していて、夫婦が"I"(私)ではなく"we"(私たち)という一人称を使っている点を掘り下げていて、魂の双子のように考え行動する夫婦の関係性を意識して観るのとそうでないのでは、だいぶ作品自体の印象が変わると思ったので。

前半はマクベス夫人が苛烈で、対するマクベスは独白の様子を観てる限り、こいつのメンタルで殺人は無理でしょと思わせる脆さがあった。夫婦がぎゅっと抱き合って、物理的にもぴったり一心同体となって王の殺害を決意する。自分たちで殺しておいて、夫人が突然、過呼吸みたいになって王の死を嘆くシーンで「ぅわ、怖っ...」ってなった。

破滅に突き進むお話なので笑いの要素があるとは思ってなくて、門番のシーンで観客いじりが始まった時は思わず声を出して笑っちゃった。劇場ネタで観客をいじったり、あと"スカート"って単語が出てきた時、これはくるな!と思ったスコットランド人の鉄板?ネタ。

この客席いじりの時に観客が全員ヘッドフォンを付けてることが分かって、しかも門番が「こんなラジオドラマに金を払って」とか言い出したので、えっ、これってもしかして舞台で実際に演じつつラジオドラマでもあるの?となった。そういえばマイクがやけに鮮明に声を拾っていて、正直、口の中のクチャって音やスーッって歯から息が抜ける音まで聴こえてきて、これを聴き続けるのは生理的に無理かも?って最初に思ったんだった。そのうち気にならなくなったので、最初だけ音声調節がおかしかったのか、私の耳が単に慣れただけなのか...

あとこの舞台、元々撮影前提で作ってるみたいで、マクベスの独白のシーンはがっつりカメラ目線だし、人物越しにマクベスを写したりカメラワークによる演出も良かった。舞台に映像にラジオドラマに、一度にメディアミックスをこなしてるのかな?

後半は予想通り、真っ白な舞台が血に染まって終わった。
夫人の「血が落ちない」って手を洗うシーンが有名らしくて、この前のシーンでマクベスが爪を気にしていた仕草と夫人が手を洗う仕草がそっくりで、結局、心の距離が離れても二人で破滅して行くんだなぁ...と。

あと、少年を殺すシーンでマクベスがしっかり胸元に少年を抱き寄せていて、これって乳あげてますよね?ってなった。「子の歯茎を乳首からもぎはなし、 脳みそをたたき出してみせる」ってこと???
舞台の最初の段階から少年の存在が印象的に演出されていたので、貴族の少年、夫人が子に喩えた殺人計画、そして可能性としてのマクベス夫婦の息子...これら全てを重ねての"少年の死"なのかな?と思った。知らんけど。

あと三人の魔女は姿形としては登場せず、囁き声だったり憑依?だったりで魔女は実在するのか、それとも全てマクベスの妄想だったのか、どっちとも取れる演出になっていたのも良かった。

MEMO---
・貴族が1人女子になってて一瞬、改変やだ〜って思ったけど、出てきた瞬間デヴィテナをひょいっと抱き上げてたので、手のひら返しで好き〜❤︎ってなった。「ガリガリ君」と言われてた頃(by.「ドクター・フー」)より筋肉がついた気がしたのに、それでも女子にひょいっと持ち上げられてしまうデヴィテナ...

(2025/02/16)映画館(字幕)


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