マイケルの時は男らしい声なんだけど、ドロ三郎になるとちょっとドラァグが入ったようなザマス熟女感があってもう爆笑。
【トッツィー】 2024年 - 日本
キャスト:
山崎育三郎 (マイケル/ドロシー)
愛希れいか(ジュリー)
昆夏美(サンディ)
金井勇太(ジェフ)
岡田亮輔(マックス)
エハラマサヒロ(ロン)
羽場裕一(スタン)
キムラ緑子(リタ)
映画:
トッツィー(1982年 - アメリカ - 116分)
演技にこだわり過ぎて役を落ろされてばかりの役者のマイケルは、女装した姿のドロシーとしてオーディションを受け、見事「ジュリエットの呪い」と言う舞台の乳母役を勝ち取る。舞台のめちゃくちゃな内容に呆れたマイケルは共演者のジュリーと共に筋書きを変え、やがて「ジュリエットの乳母」と名を変えた舞台の主役にまで上り詰め、一躍大人気となるが...
20年以上前に観た映画「トッツィー」が確か面白かった記憶があったのと、山崎育三郎演じるドロシーことドロ三郎のビジュが美し過ぎたので観てきた。でもやっぱ育三郎って大人気だよね。一次先行の抽選でチケットを取って、最近の慣れによるルーズさで当日になってから席を確認したんだけど、平日マチネなのに一番後ろの席だった。このギリギリひっかかって当選した感。
遠目だったので、アンサンブルの中に育三郎が出てきた時は気づかなかったのに、一声歌っただけで声が良過ぎて「あ、あれが育三郎だわ!」ってなった。マイケルの時は男らしい声なんだけど、ドロ三郎になるとちょっとドラァグが入ったようなザマス熟女感があってもう爆笑。ドロ三郎がドレスで登場する時は毎回拍手が起きてた。
友人ジェフの「デコルテきれいだな!」って台詞に笑ったんだけど、ホントそれ過ぎる。映画のドロシーは喉仏を隠す意味もあってか首元まで隠した衣装ばっかりなんだけど、ドロ三郎は美なデコルテを見せつけるような襟ぐり深いドレスばっかりだし、部屋ではブラ姿まで晒してて普通に美なんよ!そんなドロ三郎だけじゃなく、友人のジェフからちょい役の登場人物まで全員個性的で、それぞれひたすら笑わせにくるから観劇中ず〜っと笑ってた気がする。中でも「熟女版アニー」に大ウケしちゃって、その後の流れも面白過ぎて拍手というより手を叩いて笑っちゃった。
基本設定こそ同じだけど、ドロシーは映画では昼メロの婦長役、舞台では改変「ロミジュリ」の乳母役を演じる設定なので、ストーリーは結構別物だった気がする。マイケルとジュリーが惹かれ合う要素も薄くて、マイケルとしても恋愛<役者としての成功だった印象。あと、昨今ならポリコレ的にこういう展開になるんじゃ?と思っていた点はやっぱり変更されてた。
笑える舞台としてはめちゃくちゃ面白かったし歌も良かったけど、そう言えばアメリカでの初演の2018年頃って、ちょうどポリコレの暴走がブームだった頃では?(てか今もまだブームだよね)と考えてしまったくらい、"私たち女はこれまで虐げられてきたんだから、女というだけで何しても許される”感があって、映画よりメッセージ性は薄くなってた気がする。
いくらイケすかない奴だとしても、脚本を勝手に変えてめちゃくちゃにされたら演出家は怒って当然。「私みたいな熟女がヒロインでもいいじゃない?」は話がズレてるし、結果的に舞台がヒットしたからって許されるわけじゃなく「いやいやドロシーは普通に悪いでしょ!」と思っちゃった。
そういう意味では映画の方がしっかり女性の生きづらさや権利について押し付けがましくなく描いてたと思う。映画のマイケルは自分が男といちゃつくのが嫌だという本音もあって、女性が不当な扱いを受けてる脚本に対して改変してたからね。そうやって段々マイケル自身の気持ちが変わったり、ジュリーとの絆も深まっていってたのに舞台ではそうじゃなかった気がした。
それはさておき、私が過去に日生劇場で観た舞台が「ラ・カージュ・オ・フォール」と「プリシラ」で、どっちもドラァグなお話で、また今回もドラァグではないけど女装の話だから、私の中で日生=ドラァグなイメージがついてしまってるww オーケストラ・ピットが見えるのもいいし、一番後ろの席でも全然観やすいし、また日生劇場に舞台を観に行きたいな。どうか私が好きそうなミュージカルの上演が決まりますように。「ラ・カージュ・オ・フォール」を再演してくれるとかなり喜ぶ。
(2024/01/22)日生劇場