ロアーの映画ログ

日夜、字数制限と戦い続ける感想激長系戦士

【舞台】ペテン師と詐欺師

山田孝之だからこそ許されるギリギリのライン。そのギリギリのライン際を知り尽くした福田組だからこそできる際どさ。

【ペテン師と詐欺師】 2019年 - 新橋演舞場(マチネ)

演出:
福田雄一
キャスト:
石丸幹二(ローレンス) 
山田孝之(フレディ)
宮澤エマ(クリスティーン)
保坂知寿(ミュリエル)
大和田美帆(ジョリーン)
岸祐二アンドレ
原作:
「ペテン師と詐欺師 だまされてリビエラ 」 1988年 - アメリ

金持ちの女性を騙し、優雅な暮らしを送っていたベテラン詐欺師のローレンス。 列車で偶然出会ったアメリカ人フレディのことを同業者であると見抜いたローレンスだったが、 フレディもローレンスが詐欺師であると見抜いていた。フレディは先輩であるローレンスに詐欺の手口を教えてくれと言い出すが...



同じく福田監督&山田孝之コンビだった「シティ・オブ・エンジェルズ」 に前回落選しちゃったので、初の生山田孝之

山田孝之と言えば近々が 「全裸監督」 だったので、フライヤーにあるようなスーツ姿のかっこいい山田孝之とのギャップを感じてしまいそうだと思っていたのに、そこはやっぱり福田組だった。

山田孝之がとにかくトンでもなく荒ぶっていて、どれだけすごかったかというと登場した瞬間、観客ほぼ全員の頭に「この山田孝之はヤバい!」という警鐘が飛び交ったに違いないレベル。

山田孝之だからこそ許されるギリギリのライン。
そのギリギリのライン際を知り尽くした福田組だからこそできる際どさ。

軽くヤバいの方向性を示すと、まず 山田孝之がパンツに手を突っ込んでた。 突っ込む以上のことをしてた。それから石丸幹二とのベッドシーンもあった(ある意味ベッドシーンで間違ってない) 。

ああ、 ヤバい...思い出しただけで笑える。
正直、 あの山田孝之には引いた人もいるんじゃないかな?母が山田孝之のファンなので今回一緒に連れて行ったら完全に引いていたし、こういう山田孝之は嫌だって言ってた(母の理想の山田孝之セカチュー山田孝之)。

でも、この荒ぶる山田孝之をこの場限りにするのももったいないから、しっかりDVDを作って残して欲しい気もする。ただ笑えるだけじゃなくストーリーも面白くて、 1幕は「これから一体どうなるの?」というクリフハンガーで終わっていたので、幕間もわくわくし通しだった。

2幕では石丸幹二のコメディ要素が際立っていて面白かった。日本語をしゃべってるのに英国アクセント風に聞こえてくる1幕の上品さも素敵だったけど、 福田組に入ってしまったら最後、上品で居続けることなんて許されないとばかりに「ヨーロレリヒ〜!」と叫んでいて何だか楽しそう。
山田孝之の笑いは「ヨシヒコ」を観てれば想定内の笑いだったけど、石丸幹二の笑いはもはや未知数。福田組に侵されつつ、それでもまだ気品のあるところが流石だった。

ストーリーの着地点は予想していた通りで古き良きアメリカ映画らしいテイストだった。(関係性だけで言ったら「コードネーム・アンクル」みたい)。

というのもこの舞台、元をたどると 「寝室ものがたり」 をリメイクした1988年公開の映画 「ペテン師と詐欺師/だまされてリビエラ」が原作で、主演はマイケル・ケインスティーブ・マーティン。その2人の名前だけで、なんとなく観る前からどんな内容か察せられる。観劇の予習のためにVHS(VHS!)を先だって入手していたのに、結局観れないうちに観劇となってしまったので早めに観ようと思う。

ところでこの作品、 というかこの主人公2人。
観ているうちにとっても鹿賀丈史市村正親の雰囲気が漂う作品だよなぁ...と思っていたら案の定、過去にこの2人で上演したこともあるみたい。
鹿賀丈史&市村正親バージョンも観てみたかったな。

(2019/09/08)新橋演舞場


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