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【映画】ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日

この物語が神話として語られるような寓話そのものだったと気づいた。

ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日 2012年 - アメリカ - 126分

原題:
Life of Pi
監督:
アン・リー
キャスト:
スーラジ・シャルマ
イルファン・カーン
レイフ・スポール
アディル・フセイン
タブー
ジェラール・ドパルデュー
原作:
ヤン・マーテルパイの物語


インドで動物園を運営している一家に育った息子のパイ。国内の情勢不安から移住を決めた父に従い、パイの家族と動物を乗せた日本の船はカナダに向けて出港するが、嵐に見舞われた船は沈没してしまう。時は経ち、すっかり大人になったパイの元へ、面白い話が聞けると聞きつけたカナダ人の小説家が尋ねてくる。パイはかつて経験した227日間に渡るトラとの壮絶な漂流生活を語り始める。



公開当時、劇場で観た。
その時は「トラと漂流なんて、ストーリーが分かりきっているじゃん!」と思っていたので、ラストにめちゃくちゃ衝撃を受けて、それ以来お気に入りの映画のひとつになった。

舞台版を観るためのおさらいとして久しぶりに再観賞したら、この物語が神話として語られるような寓話そのものだったと気づいた。薄っぺらい知識しかないけど、わりとヒンドゥー教や仏教のエピソードはこういう語り口の寓話なイメージがある。

この映画ってまさに、2回目の方が刺さるタイプの映画だと思う。あの幻想的な映像美も全て必要な要素だったと2回目にして分かったし、リアルなCGの動物たちもサバイバル冒険譚としてのリアリティを高めていて素晴らしかった。舞台と比べて映画ではパイとトラとの関係性がずっと深く描かれていて、パイとトラの一対一の戦いであり対話であり、神や宗教というより精神的な側面が大きかった気がする。

でも、心底良い映画だと思っただけに、メタファーを読み解けないと大きく評価が下がってしまう映画でもあることがひたすら残念。
隠れたテーマやメタファーを読み解く力って、知識量というより文字通りの"読解力"で、読書で身につけるしかない力なのかも?読解できるかできないかで10倍くらい映画の面白さに差がつく場合もある。大人になってからは殆どまともに本を読んでないので、もっとたくさん本を読んで読解力をビルドアップしなきゃ。

とは言え「よく分からなかった」という感想もめちゃくちゃ分かる。実際、めちゃくりゃ分かりづらいもん。

多少分かったつもりでも浮島の解釈は未だに謎だし、ここの解釈が気になって色々な解釈を調べたけど、結局どれもしっくりこなかった。
ただインド映画をたくさん観たおかげで学んだこともあって、パイが浮島の木に結びつけてた紐がマウリやモーリーと呼ばれる聖紐で、単に旅の無事を祈るお守りやミサンガ的なものではなく、"自身の魂と神をつなげる糸"であると言うことを知った。
すっかり色が抜け落ちるほどずっと身につけていた聖紐を、わざわざ解いて木に結びつけた行為に浮島の大きなヒントがあるということだけは分かったので、気が向いたら浮島についてもっとちゃんと考えてみようと思う。


(2024/01/08)ディズニー+(吹替)

舞台:

roars-movie.hatenablog.com


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