ロアーの映画ログ(ブログ支部)

インスタにポストしている映画の感想をまとめるための支部

【映画】サーカス

明るい方のティム・バートンウェス・アンダーソンの箱庭の世界観に、やり過ぎと言う言葉を辞書から消したチャウ・シンチー三谷幸喜を放り込んで、ドリフでコーティングしたようなドタバタコメディ映画

【サーカス】 2022年 - インド - 135分

原題:
curkus
監督:

ローヒト・シェッティ
キャスト:
ランヴィール・シン
バルン・シャルマ
ジャクリーン・フェルナンデス
プージャー・ヘーグデー
ディーピカー・パードゥコーン
言語:
ヒンディー語

引き取り手のないまま孤児院で成長し、やがて孤児院の経営者となったロイとジョイ。学者でもあるロイは、人を形成するのは"血筋"より"育ち"であると言う持論を証明するため、里親の決まっていた2組の双子の片方をすり替えてしまう。経営者の2人にちなんで両組ともロイとジョイと名付けられた兄弟たちは、かたや裕福な家、かたやサーカス団で何も知らないまま成長するが、ある時、2組の双子が偶然同じ街に滞在することとなり...


明るい方のティム・バートンウェス・アンダーソンの箱庭の世界観に、やり過ぎと言う言葉を辞書から消したチャウ・シンチー三谷幸喜を放り込んで、ドリフでコーティングしたようなドタバタコメディ映画だった。

要するにお互いの存在を知らない双子のすれ違いコメディなんだけど、コメディ要素を腹十八分目くらいにギュウギュウに押し込んでくるから、思わず疲れて食傷的になっちゃう気持ちも分かるくらい、とにかくずっとドタバタしてた。でも私はこういうのかなり好きだからずっとクスクス笑ってた。

半分ファンタジーのような世界観で、街並みも衣装も本当にかわいくて、こういう世界観大好き過ぎる。カラフルな花が咲き乱れる街並みに、おとぎ話の中に出てくるような家。何故かファッションも50年代のレトロアメリカンテイストで、特にジャクリーン・フェルナンデスがスタイルも髪型もキツめな化粧も、全てがリアルバービーみたいで本当にかわいかった。まだ観てないけど、多分ゾーヤー・アクタルの「アーチーズ」もこんな世界観っぽい気がしてる。

基本的にみんなドタバタしてるけど、特に主人公の恋人のパパとギャングトリオのリーダーの動きが激しくて、何かに似てると思ったらエガちゃんの動きだった。常にエガちゃんのテンションで喚きながら顔芸してて面白い。しかもギャングのリーダーの方はやたらファンキーなリーゼントで見た目も面白くて、めちゃくちゃウザいキャラなのに憎めなかった。

というか、ローヒト・シェッティ監督と言えば、必ず車が壁を突き破って登場するようなコップ・ユニバースで有名な監督なのに、一体何のどんな影響を受けて急にこんな映画を作ったんだろ?私的には好きな世界観の映画だったから、もっとこういう路線もやって欲しいけど、本当に持ち味からブレ過ぎてて彼に何があったんだろう?

あと、宣材写真がランヴィールとディーピカだったので、てっきりディーピカがヒロインだと思ってたのに、中盤のダンスシーンが始まってから、あっ!ディーピカってダンスシーンだけのゲスト(アイテムガール)だったのかってことにやっと気づいた(遅い)。この2人、主にバンサーリー作品でずっと共演してきたのもあるし、本当の夫婦というのもあって並ぶとお互いが本当に輝いてて、改めてお似合いのビッグカップルだなぁとしみじみ。最後にハイタッチしてたのもめちゃくちゃ好感度高し。

それと双子を入れ替えたロイ博士が、時々第4の壁を破って語り部としてこっちに話しかけてくるんだけど、その度に「全ての諸悪の根源はお前だろうがっ!」って心の中で叫ばずにはいられなかった。だって、コメディの皮をかぶってるけど、やってることはあの非人道的なノイバウアー社会実験なんだもの。「まあ、確かに博士の言い分にも一理ありますけど、それはそれとしてあなたのやったことは許されるんでしょうか?」とネチネチ心の中で文句言ってたら、かわいいパステルカラーの服を着たみんながダンスしてハッピーエンドで終わった。


(2024/04/07)映画館(字幕)/ インド大映画祭



www.youtube.com