不謹慎さを最高の皮肉としてエンタメに昇華したこの作品、本当に大好き!
【プロデューサーズ】 2024年 - 日本 - 東急シアターオーブ
キャスト:
濱田崇裕(マックス・ビアトリックス)
神山智洋(レオ・ブルーム)
王林(ウーラ)
新納慎也(ロジャー・デ・ブリ)
神里優希(カルメン・ギア)
岸祐二(フランツ・リープキン)
友近(ホールドミー・タッチミー)
かつてはブローウェイで名声を得ていたが、今やすっかり落ち目となり、資金繰りに喘いでいるプロデューサーのマックス。
そんなマックスの帳簿を調べにきた会計士のレオは、舞台が大コケした方がプロデューサーは儲かるという仕組みに気づく。
そのことに目をつけたマックスはブルームを巻き込み、2人で史上最悪の舞台を作り上げ、大金を横領しようと考えるが...
映画版を観て大好きになったミュージカルの1つ。
いつか絶対生の舞台で観たいと思ってたのに、中々再上演がなくて悲しい...という話をスレッズで呟いたら「運営に要望を出すのもアリ」と教えてもらった。
でも、チキンな私は結局何もできず...にいたけど、その後あっさり公演の情報が舞い込んできた。わりとそういう引き寄せ体質。
そもそもこの舞台、"上演しない"ではなくて、"上演できない"のでは?と思って半ば諦めてた部分もあった。というのも、マックスとレオが史上最悪の舞台を作り上げるためにしたのが、
・
ナチス信奉者が書いた
ヒトラーを称える脚本を採用
・変わり者のゲイの演出家チームによる演出
・英語がちょっと怪しい外国人のブロンド美女を見た目と下心で採用
・おばあちゃんたち相手に体で資金調達
これを見れば、私が上演できないかも...と、諦めかけてた理由が分かりすぎるほど分かるはず。一昔前ならともかく、
コンプラ・ポリコレが激しくなった今では、こんなにもありとあらゆるセンシティブな事柄にお触りしちゃってる舞台は無理では?と思ってた。
今回の公演も新演出だと聞いていたので、
コンプラに配慮した演出になっていても、まあ仕方ないかと思いつつ観たら、どこのコミニュティにも忖度せず、映画版とほぼ変わらずそのまま舞台化されていて本当に面白かった!!
とにかく演目が好きで観に行ったので、恥ずかしながらキャストの2人がWESTだったこともよく知らず。オタ活でコラボカフェに行ったその足で池袋から渋谷に移動したのに、そこのロビーでもぬい撮りをしてる人たちが溢れててびっくりした。
濱田さんは声と骨格が好きだった。
神山さんは
強迫神経症の設定で、ずっと赤ちゃんか小動物みたいな声で鳴いててかわいかった。確か劇中でも「赤ちゃんみたいな顔して」って言われてた気がする。
でも、WESTファンとしてはどういう心境で舞台を観てたんだろ?だいぶ下品なセリフも変顔もあったけど...でもまあ、私だったら推しのトンチキな姿を観れば観るほど、かっこいい時とのギャップが楽しくて嬉しいからそんな感じだったのかな?
私は映画で
ユマ・サーマンが演じていたウーラも大好きだったから、セクシーな衣装が映画とほとんど同じだったのも嬉しかった。
それとマックスの
パトロンであるおばあちゃんの1人はWキャストで、私が観た回では
友近だった。マックスとのイメプレ設定に
水谷千重子が出てきたの笑った。
そしてずっとずっと、本当に何年もず〜っと観たかった2幕の「春の日の
ヒトラー」!
史上最低の舞台を上映するお話なので、劇中劇の形で「春の日の
ヒトラー」が実際に幕を開けるんだけど、ここの部分、振り付けまで映画そのままで、鉤十字タップダンスを生で観れて最高だった〜!!
なぜか今回チケットをケチったせいで3階席になっちゃって(確かシアターオーブのチケ代って相場より高いからA席にした)「でも上からだと、例のあのダンスが見れるし...」と期待してた通り、上からバッチリ鉤十字フォーメーションの行進も見れて感無量!!さっきから鉤十字鉤十字って言ってるけど、私にはそういう思想はないので大丈夫です。
振り付けや流れまで覚えてしまうほど、これまで何度も何度も映画版の劇中劇のシーンを観てきたとはいえ、やっぱり実際に劇場にいて、とんでもない作品を見せられた観客の心境を疑似体験できるのは格別。
しかも映画とは違って、劇中劇の途中でロジャーこと新納さんの客席いじりが始まったのも最高だった。
「今日は日曜日だからね。握手する?」って観客たちと握手してたの意味わかんなくて笑う。日曜日限定なの?そもそも新納さん、普通に美人でドレスも似合ってたし、足があまりに美脚過ぎた!本人も絶対、美脚の自覚あるよね。
それと、2幕後半のロジャーの曲もすごかった。
ここまでのあらすじを全部一人でやるやつ。
1幕ダイジェストの後に
もぐもぐタイム(本当に何か食べてた)と物販紹介コーナーがあって面白かったし、イケメンネタにも笑った。
ラストのラストの方の「総統を笑いものにしよって〜!!」とキレる脚本家に「もうとっくに笑いものにされてるよ」と返した台詞が秀逸過ぎてホンソレ。
不謹慎さを最高の皮肉としてエンタメに昇華したこの作品、本当に大好き!
また機会があったら絶対に観に行きたい。
(2024/11/17)
東急シアターオーブ(3階3列センブロ)マチネ
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