一度でもこんな悪夢を見てしまったら、一発で正気の免許を剥奪されそうな終末の世界。
【マッドゴッド】 2021年 - アメリカ - 84分
原題:
Mad God
監督:
フィル・ティペット
人類最後の男によって地底の暗黒世界に派遣されたアサシン。クリーチャーたちが蠢く中、使命を果たすため、地図を頼りに目的地へと向かうが...
2023年1本目の劇場鑑賞。
新年始まって2日目に「そうだ、マッドゴッド観よう」と思った人たちが案外多くてホッとしたような不安でもあるような複雑な心境。
一度でもこんな悪夢を見てしまったら、一発で正気の免許を剥奪されそうな終末の世界。
地獄の方がまだマシと思えるような不快感や不安を塗り広げたような映像にいきなり怯みそうになりつつ、気づいたらどんどん引き込まれて圧倒されて、終わってみたら体感10分くらいだった。異世界に脳が拉致されて時間の感覚までバグった感じ。
生産と消費。
秩序と混沌。
供与と搾取。
消失と再生。
永遠と刹那。
生と死。
そんな相反するものを同時に絶え間なくぶつけられたような衝撃や、ストップモーションと言うにはあまりに画面の情報量が多過ぎる狂気の作り込みにとにかく頭が混乱する。
到底まともに言語化できそうにない映画だったけど、一言で表すなら「すごいもの観た」。ホントこれしか言えない、観た人にしか分からない圧倒的映像体験だった。
製作スタッフもクラファンで支援した人たちも、完成した映画を観た瞬間、達成感と同時にもしどこかで諦めていたら、この映画が創られなかったかも知れないという可能性にぞっとしたんじゃないかな?
MEMO---
・最初のあれはバベルの塔みたいなものだよね。あれだけの群衆をストップモーションで動かしていると思うと怖くなる
・地図を作っていたのは運命の三女神的なあれだろうか?
・あの解剖シーン、血や臓物を汚く奪う残酷さだけじゃなく、富や知といったその人を作り上げてきた大切なものや価値観までもを全て奪いつくすような容赦ない尊厳破壊がエグくてホント徹底して頭おかしい(褒め言葉)
(2023/01/02)映画館(字幕)